“NOIZE”の開発は2023年冬のワールドカップで始まった。
レースに出場するすべての選手間でのタイム差が接近し、さらにレーステクニックも細かく変化し進化していく現在、表彰台に上がるかどうかの差、あるいはポイントを獲得できるかどうかの差となる1/10秒、1/100秒の決定的な違いはどこに見つければ良いのだろうか。
「ノイズコントロールテクノロジー」は、そんな状況を打破するためのテクノロジーである。

マテリアル開発におけるひとつのソリューションとして、有害な「悪い振動（バタつき）」を抑えるというのがある。しかし、単に振動を吸収するという技術では、乗り心地は快適になるが、エネルギーが大きくロスし、スピードは失われていく。

しかし、フィッシャーは、その「振動」に対して、異なったアプローチで新しいソリューションを開発。そのコンセプトとなるのが“TUNE YOUR TURN（ターンを調律する）”という考え方である。

ノイズコントロール...それはもともと音楽で使われる用語。楽器やコンサートホールの振動を調和させ、ピュアで表現力豊かなサウンドを実現するために必須の技術である。

フィッシャーが開発し25/26シーズンのRC4に導入する新技術「ノイズコントロールテクノロジー」は、オンピステでのスキーにおいて、最速のラインとクイックかつスムーズなコントロールを実現するために、楽器製造や音楽空間作りのそれと同じ方法論で開発された技術である。

実際にスキーから発生する音（ノイズ）を制御することで高速時のバタつきを抑え込んでいる。なぜなら、振動とそこから発生する音（ノイズ）は共通の周波数であるからだ。そこで音響科学から発想を得てスキーにおける効果的な振動抑制を実現したのが新しいRC4 NOIZEシリーズである。

内部構造に金属顔料を計算された質量で分布させることで、悪い振動をフィルタリングし、音波を調和させている。タイムロスの主な原因となる無駄なエネルギー（不快な揺らぎや振動...つまり「ノイズ」となって現れる）は、このテクノロジーによって適切に制御され、効率的なパワー伝達と正確性に優れたコントロール性能を常に発揮できるようになる。

RC4 NOIZEシリーズには「ノイズコントロールテクノロジー」を成立させる欠かせないマテリアルとして、無垢材の「ソリッドウッドコア」を導入している。
良い音（振動）を響かせるために、木の繊維をなるべく途切れる事がないように職人が切り出していくという楽器作りの考え方はスキーにおいてもまったく変わらない。
堅固で破壊されていない木の繊維が、トップからテールまで調和のとれた振動を生み出すのだ。
この新しいウッドコアなしでは、ノイズコントロールテクノロジーは成立しない。